(ホ)全体の感想

初出 '99/03/14 08:34
'04/02/03 一部修正



 この巻についての他の方の発言で、「縛りがある方が逆に自由を感じる」と書いておられるものがありましたが、この巻はシリーズ中でも出色の企画ではないかと思っています。
 限定された条件を貰ったことで、かえって作家さんも燃えたのでしょうか。


 個人的に面白いと思った作品を挙げてみます。

首席 「新鮮なニグ・ジュギペ・グァのソテー。キウイソース掛け」田中啓文
 これを選ぶのは私の悪食故かも知れませぬ。話の展開自体は割とホラー小説のスタンダードを踏襲しているようですが。

次点 「水牛群」津原泰水
    「指ごこち」菊地秀行

 後半の二篇に続けて「うーんやられた。おもしろかった」と感じたときには「もしや読んでいた時の状況に左右されたのでは」と心配になりましたが。
 つらつら前に戻って読み比べてもやっぱり面白いんですね。同じくこの二篇を挙げられた他の方のコメントに、この選択を「読んでいた時の状況にも依ります」と書かれたものがありましたが、そればかりでもなくて本当にこの二篇は巧みな作品なのだと思いますよ。

佳作 「チェンジング・パートナー」森真沙子
    「厭な扉」京極夏彦
    「シンデレラのチーズ」斎藤肇
    「貴賓室の婦人」竹河聖

 「ヴァレンタインの夜のホテル」の設定の割には男女の仲を持ち込んだ話は意外に少なかったですね。「チェンジング・パートナー」と「冬の織姫」くらいで。

別格 「チェックアウト」井上雅彦
 非常に気に入ったのですが、この企画の中でこの作品に順位をつけるのはなんだかアンフェアな気がしたもので……

 各作品についてはおいおい別ページで。


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