(映)雑感とご贔屓作品
初出 '02/10/07 03:11
キネマ・キネマと寝間着葉巻くらいちがう。
(絶対どれか一編くらいはこういうネタがあるはずだと思っていたのは私だけ?; なんでなかったのかしら、どーして?)
それはさておき。
今回は苦労しました。
熱の入り方が違うというか、クオリティ高いですね。他の巻ならまあ手堅く楽しめる、というレベルの作品でも、この巻にあってはなんだか埋没したような印象になってしまう。
今回のご贔屓作品五作は順位なしで。いずれも甲乙付けがたい、というか、「味」が各々相当に独自の物なので、比較は無意味、という状況でした。
選択基準はホラーとしての衝撃ではなく、何か印象深いものを感じさせられた作品、ということで選んでみました。
[コメント]
「恐怖燈」朝松健
「映画」のお題で時代劇を持ってくるとは――という驚きを差し引いても、ラストのこの「造形」は。この「厭」感には、ただ唸ることしきり。
「プリン・アラモードの夜」速瀬れい
こういうのほほんとしたジェントル・ゴーストは大好きです。(いや、死なずに妖怪化してるから幽霊ではない、のか?)
ところでちょっと余計な話。私は個人的に、安達祐美という女優は、長ずるにつれてどんどん黒柳徹子に似てきてるなあ、と思う(特にドラマじゃないトークの時なんか)……のですが、そう思うのはわたしだけでしょうか?;
整った顔なのに小柄で幼く年齢不詳に見え、あんまり「普通のありふれたOLや学生」には見えないという微妙なポジションにいるようですが、この先二十年三十年経ったとき、彼女が「お茶目な老け役」の座を不動の物にするんでは、と密かに期待しているのです。
そんなわけで、この話のミミ子嬢は、私の脳内では安達祐美でキャスティングされてるんですね。(勿論安達祐美が既に小学生じゃないのは分かってんですけども)
「第三半球映画館」本間祐
短いのに、いや短さ故か、いずれもどうにも拭いがたい引っかかり具合。これはまるで「呪」。
「あなたの下僕」飛鳥部勝則
トップページからいらした方はおわかりでしょうが、私は昔の角川映画等のあのへんの映画が好きなんです……
と、いうか、あのあたりに代表される仄暗くも絢爛豪華な血腥い猟奇のイメージが。(「この子の七つのお祝いに」のポスターを密かに持って帰りたいと思いながら毎日通学路で眺めていた過去、なんてのも)
作中映画中盤の「生首収集」は「桜の森の満開の下」ですかな。
「赤と青」草上仁
読み進むうち、どこまでが作中映画だか主人公の「現実」だか、分からなくなっていく。
ラストも衝撃なんですが、読み終えてはたと、最後に現れた「彼女」も、「現実」だったのかどうか、と……
ちなみに、五作に入りきらなかったけれども惜しい、という作品は以下。
「眼居<まなこゐ>」石神茉莉
「3D」町井登志夫
「ディレクターズ・カット」浦浜圭一郎
「ストップ・モーション・マン」小中千昭
「あたしの家」矢崎存美
「ZOO」乙一
「コルトナの亡霊」中島らも
なんかこのへんも溢れてますな。
上に挙げた中には、作品全体としては地味か、などと感じるものもあるのですが、いずれもどうにも引っかかるイメージや展開がありました。選ぶ間も、これ好きなんだけどなー、などと、散々悩んだことです。
ここに挙がらなかった作品についても、今回は善し悪しというより、普段ならあまり気にしないそれ以外のこと――例えば、下敷きにしている元ネタを知らない、とか、そういった部分が引っかかって選べなかった、というのが大きいように感じます。まあ、おかげでこの機会に作中で触れている映画についても、ビデオを借りてみようか、などという気になっているのですが。
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